開院10周年によせて 臨床指導担当 助産師 早稲田幸子

令和7年6月1日、医療法人社団アンジュレディースクリニックは開院10周年を迎えることができました。これまでご支援頂きました皆さまに心より感謝申し上げます。

 

突然ですが「あなたは運がいいですか?」と聞かれたらどのようにお答えされますか?

おそらくなら私は「はい、運はいい方だと思います!」と答えると思います。

私は、これまで周産期管理が主軸の大学病院、婦人科専門の産婦人科クリニックでの勤務を経験し、大学病院とクリニックでの看護のあり方を学びました。そんな中、当院にご縁を頂き、アンジュスタッフの皆さんとの出会いが私のこれまでの助産師人生を大きく変えてくれました。

正直、アンジュスタッフとのご縁は奇跡に近いと思っています。 

「共に学び、共に支え合う」をモットーに開業当時から業務に従事して参りました。

自身のスキルアップに前向きな方も多く、いろんな刺激を受けて、骨盤ケアリスト認定助産師(日本骨盤ケア助産学会)、NCPR(新生児蘇生法)専門インストラクター(日本周産期・新生児医学会)を取得。

今は、インストラクターとして院内外において新生児蘇生の勉強を色々な方々と学び合えることにとてもやりがいを感じています。

これまでを振り返りますと、開業当時は看護手順などの作成やお取引先さまとの連絡、打ち合わせに一心不乱でした。多忙すぎて、正直何をしていたかよく覚えていません。

臨床指導者としては、うまく伝えられず自分の不甲斐なさに自己嫌悪に陥ったり、指導案を幾度となく改善してみたり。しかし、今では指導者の仲間も増え、当院ならではの教育方針も確立して参りました。

経過と共にいろんな出会い、別れも経験。日々泣いたり、笑ったり、悩んだり、喜んだりと本当にバラエティに富んだ10年でした。

産婦人科であるがゆえに緊急での呼び出しにも対応。家庭内においては、授業参観などの学校行事で、途中退席や途中参加も。「お約束はきちんと守るんだよ。」と娘たちに言い聞かせながらも、自分が守れていないという始末。このような母親で大変申し訳なく、何度も何度も娘たちに謝り「ううん、いいよ。アンジュのお母さんと赤ちゃんが元気なら。」と許しをもらいながら、育児との両立における奮闘は、今まさに現在進行中でございます。

さて、これまで紆余曲折してきたわけですが、今は主に帝王切開分娩、新生児管理、助産師外来を主に担当しております。実は私、看護学部時代はずっと「将来、看護師になったらOPE室、救急、ICUで働きたいな。」と思っておりました。

産科クリニックでは、外来、病棟、分娩室、OPE室、新生児室、授乳室をそつなくこなさなければなりません。アンジュに入職後、学生時代から夢だったOPE室の勉強をする転機が訪れ、先輩や先生方から色々ご指導頂きながら前向きに勉強をすることができ、今では緊急も含め帝王切開分娩をほぼ全例担当させて頂くまでになりました。

分娩は経膣分娩だけではありません。帝王切開分娩も立派なお産です。助産師として帝王切開分娩の不安を払拭し、精神的ケアも含めどのように関わっていくかを日々研鑽しておりますが、やはり「助産師なのになんでOPE室?分娩室じゃなくて?」とよく聞かれます。

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器材の確認をしながら迅速に準備を行います
定刻に患者さまをお迎えできますよう環境も整えます

帝王切開分娩に限らず手術を成立するにはチームワークが必要不可欠です。そして、医師だけでなく、いろんな職種の方がOPE室に集結します。当院は元々チームワークが素晴らしいので、OPE室や分娩室ではよりこのチームワークが発揮されます。

帝王切開分娩の成功のために、一人一人の持っている技術を発揮し、声を掛け合いながらお互いを信じ、全力でお母さんと赤ちゃんの治療にあたります。

私にはこの一体感がどんなに過酷な環境でも自分を奮起することができるのです。

厳しい帝王切開分娩が無事終了した時の達成感と安堵感。

OPE室から出た後には、お互いを労い、励まし合う。そして、疑問点は先輩に聞いたり、執刀医からも直接指導を受けたりできるので、次への活力にもつながりやすいのです。

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術野の状況を確認しながら執刀医に器材を手渡していきます(直接介助)

しかし、私自身は患者さんの1番近くにいながらもマスクに帽子、ガウン、ほとんど人相が分かりません。分娩室と違って、顔も名前も分からないという環境ではありますが、助産師外来を担当しているので「外来でお話ししていた早稲田さんの声だったんですね!。聞き慣れた声を聞いて安心しました。」とおっしゃってくださる方や、お礼のお手紙を頂くことも。

そのような感謝のお声を頂いたときは本当に励みになりますし、これまで頂いたお手紙も今でも大事に保管しております。そしてお母さんと赤ちゃんが無事に退院された時は、分娩室以外でも助産師としてお産のお手伝いができる喜びを感じております。

世間では今は手術室看護師を「オペ看」と呼ばれています。これからもアンジュのオペ看として臨床指導、新生児の救命にも携わりながら、より良いお産のサポートができるようこれからも研鑽していく所存です。

 

結びに、改めまして開院10年以来、お産にご縁を頂いたお母さま方、患者さま、お世話になっておりますお取引先の皆さま、地域の皆さま、ご支援賜り心から感謝申し上げます。これからも地域医療のために精進して参ります。今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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産婦さまのご家族さまが撮影したお写真
記念に…とわざわざ送って下さいました
私にとってとても大切な大切なお写真です

当院にて貴重なお産を担当させて頂きましたお母さま方…
本当にありがとうございました!

※HP掲載につきましてお母さまからの許可を頂いております